新たな人類社会を形成する価値の創造

プラスチック汚染の実態解明を通じた共通価値創造:循環経済へのネットワーク創出プロジェクトは、世界的な環境問題となっているプラスチック汚染の解決にむけて、学問分野の枠を超えて、研究と実践の両方から取り組むプロジェクトです。

プラスチック汚染は、社会の誰もが加害者でもあり被害者でもあります。さらに、世代を超えて影響がおよぶ、非常に複雑な問題です。自然界のさまざまな生き物への影響だけではなく、ヒトの健康への影響も懸念される一方で、安価で大量生産が可能なプラスチックに大きく依存した社会を変えていくことは簡単なことではありません。

このような、複雑な問題の解決には、国家、企業、地域社会といったさまざまなレベルで環境に対する「共通の価値」を創造することが欠かせません。

この研究プロジェクトでは、プラスチック汚染からの脱却をどのようにして実現させるのか、人文学・社会科学分野において十分に活用されてきたとはいえない自然科学の知見も活用する新たなアプローチをさぐります。つまり、歴史や文化を基盤とした人びとの生活史と自然科学から得られたデータの双方からのアプローチを通じて、経済・社会・環境が持続するモデルを創出し、多くの地域へ波及させることをめざします。

このプロジェクトは3つのテーマにそって研究を進めます。

マイクロプラスチック調査グループ

これまでほとんど明らかにされていない農業由来のマイクロプラスチックについて、最新の分析手法をもとに分析を行うとともに、スマートフォンなどを用いて誰もが簡単に調査できる手法を開発し、市民参加型の調査手法を確立します。これにより、従来は不可能であった広範囲に渡るサンプルを収集し、分析精度を高め、これまでに蓄積されてきた研究成果と統合することで陸から川、川から海へどのようにしてマイクロプラスチックが運ばれているのかを明らかにします。

環境教育グループ

市民参加型調査の調査手法をもとにした環境教育プログラムを開発し、各地での実践を通じて、人々の意識や行動の変容に至る要因、あるいはそれを阻害する要因を解明します。また、国内外でプラスチック汚染の解決に取り組む多様なステークホルダーの関係性について、アンケート調査や聞き取り調査、文献調査を行います。これらの研究を通じて、持続可能な経済・社会・環境の実現に対し各主体間にどんな情報の断絶があり、どのようにして克服できるのか、また地域固有の歴史や文化はどんな影響を及ぼしているのかを明らかにします。

新たな物質循環の創出グループ

生産者や地域住民とともに、プラスチックに依存しない新たな生産と流通の仕組みづくりと検証に取り組みます。このグループでは、どのようなバイオマス資源が地域に存在したのか、今も存在するのかを明らかにし、現代の農業においてどのような理由でプラスチック製資材が過剰に使用され、その削減はどのように実現できるのかを考えます。また、地域の農業者や消費者、流通事業者、地方自治体と連携してコミュニティ・コンポストの実証実験などにも取り組み、、「脱プラスチックと地域バイオマス資源を活用した地域内の物質循環を通じた持続可能な社会」を実現するためには、社会制度も含めてどのような枠組みを構築する必要があるのかを考えます。

将来の展望

流域単位の新たな物質循環の指針を示すとともに、人文学・社会科学と自然科学の双方に精通する人材を育成し、学術研究と市民科学の国際的ネットワークを構築することで、プラスチック汚染からの脱却に貢献します。

私たちのチーム

研究統括/環境教育グループ リーダー

原田 禎夫

大阪商業大学 公共学部 准教授

マイクロプラスチック調査グループ リーダー

高田 秀重

東京農工大学 農学研究科 教授

新たな物質循環創出グループ リーダー

嶋田 大作

龍谷大学 農学部 食料農業システム学科 准教授

岡本 牧子

琉球大学 教育学部
准教授

駒谷 慎太郎

株式会社堀場テクノサービス 分析技術部
本部長

白木 克繁

東京農工大学 農学研究科
准教授

瀬川 貴之

一般社団法人ClearWaterProject
代表理事

高澤 伸江

京都先端科学大学 バイオ環境学部
准教授

千葉 知世

大阪府立大学 人間社会システム科学研究科
准教授

豊田 知八

保津川遊船企業組合
代表理事

中嶋 貴子

大阪商業大学 公共学部
専任講師

町田 善康

美幌博物館
学芸主査